千歳基地には、F-15戦闘機を運用する第2航空団をはじめ、警戒監視、地対空防空、救難、航空管制、気象観測、政府専用機の運用など、それぞれ異なる任務を担う部隊が配置されています。
「千歳基地=F-15の基地」という印象を持つ方も多いかもしれませんが、実際には戦闘機を飛ばす部隊だけで基地が成り立っているわけではありません。

千歳基地には、どのような部隊が所属しているのでしょうか?
この記事では、千歳基地の所属部隊を「任務」「装備」「航空機」の3つの視点から整理します。
第201飛行隊・第203飛行隊のF-15だけでなく、政府専用機B777-300ER、千歳救難隊の救難機、第1移動警戒隊のレーダーなども具体的に紹介します。
- 千歳基地に所在する主な部隊
- 第2航空団・第201飛行隊・第203飛行隊の役割
- F-15J/DJなど千歳基地で運用される航空機
- 政府専用機B777-300ERを運用する部隊
- レーダー・地対空防空・救難などを担当する部隊
- 千歳基地と新千歳空港の違い
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千歳基地の所属部隊一覧
航空自衛隊が公表している千歳基地の主な所在部隊を整理すると、次のようになります。
| 部隊 | 主な任務・役割 | 代表的な装備・航空機 |
|---|---|---|
| 第2航空団 | 北海道を中心とした防空・対領空侵犯措置 | F-15J・F-15DJ、T-4など |
| 第1移動警戒隊 | 移動式レーダーによる警戒監視 | TPS-102A |
| 北部高射群の千歳所在部隊 | 地対空ミサイルによる防空 | PAC-3などの地対空防空システム |
| 北空施設隊第2作業隊 | 飛行場・基地施設の維持、施設作業 | 施設・土木関係器材 |
| 千歳救難隊 | 航空機事故・遭難時の捜索救難 | UH-60J・U-125A |
| 基地防空教導隊 | 基地防空に関する教育・訓練 | 基地防空用装備 |
| 千歳管制隊 | 千歳飛行場・新千歳空港などの航空管制 | 航空管制レーダー・通信器材 |
| 千歳気象隊 | 航空機運用に必要な気象観測・予報 | 航空気象観測器材 |
| 特別航空輸送隊 | 内閣総理大臣などの要人輸送 | B777-300ER政府専用機 |
| 第3移動通信隊 | 展開先での通信機能の確保 | 移動通信器材 |
| 千歳地方警務隊 | 自衛隊内の司法警察業務など | ― |
この一覧を見ると、千歳基地では「戦闘機による防空」だけでなく、探知・迎撃・地上防空・救難・管制・気象・通信まで一つの基地に多くの機能が集まっていることがわかります。
【視点1】任務から見る千歳基地の所属部隊
まずは「何をする部隊なのか」という任務の違いから見ていきましょう。
第2航空団|F-15で北の空を守る中核部隊
千歳基地の中心となるのが第2航空団です。
第2航空団は航空総隊・北部航空方面隊の隷下にあり、千歳基地を拠点として防空任務にあたっています。
2026年10月現在、第2航空団司令が千歳基地司令を兼ねています。
第2航空団は大きく、司令部、飛行群、整備補給群、基地業務群などから構成されます。
- 飛行群:F-15などを運用
- 整備補給群:航空機の点検・修理・補給を担当
- 基地業務群:施設、通信、衛生、警備など基地運営を支援
つまり、第2航空団はパイロットだけの組織ではなく、F-15を継続的に運用するための整備・補給・基地運営まで含む大きな組織です。
第201飛行隊|F-15を運用する戦闘機部隊
第201飛行隊は、第2航空団飛行群に所属する戦闘機部隊です。
主力機はF-15J・F-15DJです。
平時には戦闘機の操縦訓練や戦技訓練を行うほか、日本周辺へ接近する航空機に対応する対領空侵犯措置に備えています。
警戒待機中に緊急発進の必要が生じれば、F-15が速やかに発進できる態勢が取られます。
第203飛行隊|日本最北端の戦闘機部隊
第203飛行隊も、第2航空団飛行群に所属し、F-15J・F-15DJを運用しています。
千歳基地公式サイトでは、2026年の職場紹介で「日本最北端の戦闘機部隊」と紹介されています。
部隊マークには白熊が使われているため、航空祭などで第203飛行隊の機体を確認するときの手掛かりになります。
第201飛行隊と第203飛行隊という2個のF-15飛行隊が配置されていることが、千歳基地の大きな特徴です。
第1移動警戒隊|レーダーを展開して空を監視
第1移動警戒隊は、戦闘機を飛ばす部隊ではありません。
航空自衛隊の公式説明では、移動式警戒監視レーダー「TPS-102A」を北海道・東北地方へ展開し、警戒監視を行う部隊とされています。
固定式のレーダーサイトだけではなく、必要な地域へレーダーを移動させて航空状況を監視できるところが特徴です。
防空を「見つける→判断する→対応する」という流れで考えると、第1移動警戒隊は「見つける」段階を支える部隊と考えるとわかりやすいでしょう。
北部高射群|地上から空を守る部隊
千歳基地には、北部高射群に属する第9高射隊、第10高射隊、第1指揮所運用隊、第1整備補給隊が所在しています。
戦闘機が空中から航空脅威へ対応するのに対し、高射部隊は地上配備型の防空システムを使って空からの脅威に備えます。
つまり千歳周辺の防空は、F-15だけではなく、レーダーや地上防空部隊などを組み合わせて構成されています。
千歳救難隊|UH-60JとU-125Aで捜索・救助
千歳救難隊は、航空救難団飛行群に所属する救難部隊です。
航空機事故などが発生した場合に、遭難した搭乗員などの捜索・救助を行います。
航空自衛隊の航空救難では、主にU-125A救難捜索機とUH-60J救難ヘリコプターを組み合わせて活動します。
2026年9月6日の「千歳のまちの航空祭」でも、UH-60JとU-125Aによる救難訓練展示が行われました。
千歳管制隊|自衛隊機と民間機の安全運航を支える
千歳管制隊は、千歳飛行場だけでなく、隣接する新千歳空港の航空管制業務にも関係する重要な部隊です。
公式サイトでは、千歳飛行場と新千歳空港の離着陸、周辺空域を飛行する航空機への航空管制、北日本方面の飛行計画処理などを担当すると説明されています。
さらに、スクランブルに必要となる識別業務の支援も行っています。
民間航空機の発着が非常に多い新千歳空港と航空自衛隊千歳基地が隣接する地域だけに、航空管制は非常に重要な役割を担っています。
特別航空輸送隊|政府専用機B777-300ERを運用
千歳基地には特別航空輸送隊も所在しています。
特別航空輸送隊は、内閣総理大臣などの要人輸送を中心とする任務を担当し、政府専用機B777-300ERを運用しています。
現在のB777-300ERは、以前使用されていたB747-400の後継機として導入されました。
| 機種 | B777-300ER |
|---|---|
| 全長 | 73.86m |
| 全幅 | 64.8m |
| 巡航速度 | 約925km/h |
| 航続距離 | 約14,000km |
| 主な任務 | 内閣総理大臣などの要人輸送、必要に応じた在外邦人等の輸送 |
2026年度の千歳のまちの航空祭でも、B-777による訓練飛行が実施されています。
【視点2】装備から見る千歳基地
千歳基地の特徴は、航空機だけではありません。
部隊ごとに役割が異なるため、装備にも大きな違いがあります。
| 装備 | 使用する部隊・用途 | 役割 |
|---|---|---|
| F-15J/DJ | 第201・第203飛行隊 | 防空・対領空侵犯措置 |
| TPS-102A | 第1移動警戒隊 | 移動式レーダーによる警戒監視 |
| 地対空防空システム | 北部高射群 | 地上から航空脅威へ対処 |
| 航空管制レーダー・通信器材 | 千歳管制隊 | 航空交通の安全確保 |
| 救難装備 | 千歳救難隊 | 捜索・救助 |
| 施設・土木器材 | 北空施設隊第2作業隊 | 飛行場・基地施設の維持 |
このように見ると、F-15が飛び立つまでには、レーダー、通信、管制、整備、施設、気象など非常に多くの機能が必要だとわかります。
【視点3】航空機から見る千歳基地
千歳基地で特に注目される航空機を整理します。
F-15J・F-15DJ|千歳基地を代表する戦闘機
千歳基地を代表する航空機がF-15J/DJです。
F-15Jは単座型、F-15DJは複座型です。
| 全長 | 19.4m |
|---|---|
| 全幅 | 13.1m |
| 乗員 | F-15J:1人/F-15DJ:2人 |
| 最大速度 | マッハ約2.5 |
| 航続距離 | 約4,600km |
F-15DJは複座であることから訓練にも利用されますが、「F-15J=実任務専用、F-15DJ=訓練専用」ではありません。
用途を単純に二分せず、どちらもF-15運用体系を構成する機体として理解しておくとよいでしょう。
T-4|訓練・連絡などに使われる航空機
T-4は、航空自衛隊が運用する国産の中等練習機です。
戦闘機より小型で、乗員は2人。航空自衛隊では教育・訓練を中心に幅広く使われています。
2026年度の千歳航空祭でもF-15やB-777、U-125Aとともに異種混合航過飛行へ参加しており、千歳基地で見ることのできる機種の一つです。
UH-60J・U-125A|千歳救難隊の救難機
千歳救難隊の任務を支えるのが、UH-60JとU-125Aです。
U-125Aは広い範囲を捜索する救難捜索機、UH-60Jは現場で救助を行う救難ヘリコプターです。
2機種の特徴を生かして、遭難者の捜索から救出までを行います。
B777-300ER|政府専用機
白い機体に赤いラインが入った政府専用機B777-300ERも、千歳基地を代表する航空機の一つです。
運用するのは航空支援集団の特別航空輸送隊で、部隊の所在地は千歳基地です。
第2航空団のF-15とは指揮系統も任務も異なりますが、同じ千歳基地を拠点として運用されています。
千歳基地と新千歳空港は同じ?地図で位置関係を確認
千歳基地について調べるときに、特に間違えやすいのが新千歳空港との関係です。
千歳基地と新千歳空港は隣接していますが、同じ施設ではありません。
さらに、「同じ滑走路を航空自衛隊と民間機が共用している」と考えるのも正確ではありません。
新千歳空港には3,000m×60mの滑走路が2本あります。一方、航空自衛隊が管理する千歳飛行場にも、3,000m×60mと2,700m×45mの2本の滑走路があります。
つまり、隣接する両飛行場を合わせると4本の滑走路が並ぶ形です。
地図を見ると、航空自衛隊側の千歳飛行場と民間航空側の新千歳空港が南北方向の滑走路を並べるように隣接していることがわかります。
一方で航空管制については密接な関係があり、千歳管制隊は千歳飛行場と新千歳空港の離着陸や周辺空域の航空機に対する管制業務を担当しています。
「隣接している」「航空管制上の関係が深い」ことと、「同じ空港」「同じ滑走路」ということは別です。千歳基地と新千歳空港は分けて理解しておきましょう。
千歳基地の公式Xで最新情報を確認
所属部隊の活動や航空祭、F-15の展示飛行など、最新の情報を確認するなら千歳基地の公式SNSも便利です。
Tweets by 航空自衛隊千歳基地航空祭の飛行展示やイベント情報は変更されることもあるため、訪問予定がある場合は公式ホームページと公式Xの両方を確認すると安心です。
千歳基地の所属部隊に関するQ&A
まとめ|千歳基地は戦闘機・警戒・防空・救難を担う北の重要拠点
千歳基地には、第2航空団を中心として、さまざまな任務を担う部隊が配置されています。
- 第201・第203飛行隊がF-15J/DJを運用
- 第1移動警戒隊がTPS-102Aで警戒監視
- 北部高射群の部隊が地上から防空を担当
- 千歳救難隊がUH-60J・U-125Aを運用
- 千歳管制隊が千歳飛行場や新千歳空港の航空管制を担当
- 特別航空輸送隊がB777-300ER政府専用機を運用
このように、千歳基地の役割はF-15による防空だけではありません。
航空機を「飛ばす」、空を「監視する」、地上から「守る」、事故時に「救う」、安全に「管制する」という複数の機能を持つ部隊が連携しています。
千歳基地の所属部隊を理解するときは、「任務」「装備」「航空機」の3つに分けて見ると、それぞれの部隊がどのようにつながっているのかが理解しやすくなります。
なお、部隊編成や装備、航空祭で展示される航空機は変更される場合があります。最新情報は航空自衛隊千歳基地や防衛省の公式発表を確認してください。




